今年も後僅かとなり、師走の雰囲気が漂ってきましたね。
この時期はクリスマスプレゼント等で街のジュエリーショップも多忙になる
時期だと思います。
そんな中、国内で有名なジュエリーブランドの一つ「4℃(ヨンドシー)」が
売上不振で直営店舗を大量閉店してる事はご存じですか?
また、同じ業界の中でも逆に業績が好調なジュエリーブランド「ツツミ」。
業界の中で明暗が分かれる、ヨンドシーホールディングスとツツミの動向は
対照的です。
それぞれの戦略や市場環境にどのような違いがあるのか、以下に整理します。
ヨンドシーホールディングスの課題
会社概要
社名 | 株式会社ヨンドシーホールディングス (英文)YONDOSHI HOLDINGS INC. |
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設立日 | 1950年5月18日 |
本社所在地 | 〒141-0021 東京都品川区上大崎二丁目19-10 地図を表示 TEL. 03-5719-3429 |
上場取引所 | 東京証券取引所プライム市場 |
コード番号 | 8008 |
資本金 | 24億8,652万円 |
事業内容 | ジュエリーを中心とするブランド事業 アパレル・バッグを中心とした企画・製造・卸売事業 小売事業 |
従業員数 | 単体11名、連結1,003名(2024年2月29日現在) |
関係会社 | 8社(2024年3月1日現在) |
役員 (2024年5月31日現在) |
代表取締役社長
増田 英紀
代表取締役専務 専務執行役員
岡藤 一朗
常務取締役 常務執行役員
西村 政彦
取締役
新井 宏
取締役(社外)
児玉 直樹
取締役監査等委員
嵩下 昌宏
取締役監査等委員(社外)
北川 展子
取締役監査等委員(社外)
河添 博
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- 売上減少
- 2020年2月期の売上高は269億円だったが、2024年2月期は169億円に減少。コロナ禍で約100億円もの売上が失われた。
- 2025年2月期上半期も8.9%の減収と、回復基調に至っていない。
- 収益性の低下
- 店舗縮小戦略を進め、不採算店を閉鎖する一方で、収益性は十分に向上していない。営業利益率は2020年の12.3%から2025年上半期には5.3%に低下。
- 競争力の課題
- 高付加価値路線を採用しているものの、インフレや消費者の節約志向に合わず、価格競争で苦戦。
ツツミの成功要因
- 安定した増収
- 2020年3月期の売上高は151億円だったが、2024年3月期には199億円、2025年3月期には226億円を計画。4期連続で1割増収を見込む好調ぶり。
- 特に2025年3月期上半期は24.9%の増収を達成。
- 主力商品の強化
- ネックレス・ブレスレットが売上を牽引。2024年3月期の販売額は前期比16.4%増。
- ネックレスはギフト需要に加え、自分用としても購入される傾向が強く、汎用性が高い。
- 低価格戦略
- 創業以来の垂直統合モデルにより、適正価格での販売を実現。インフレやジュエリー価格の高騰にも柔軟に対応。
- 消費者の節約志向に応えた価格設定が市場ニーズにマッチ。
市場環境の影響
- ジュエリー価格の上昇
- 日本銀行の企業物価指数によると、2024年のジュエリー価格指数は2020年比で62%上昇。金価格の高騰が背景にある。
- ツツミの低価格路線が、インフレ下で消費者の支持を得る要因に。
- 消費支出の抑制
- 総務省の家計調査によれば、2023年のジュエリー関連の支出額は2019年に比べ縮小。生活必需品への支出増加が影響。
- 高価格帯のヨンドシーよりも手軽なツツミが消費者に選ばれやすい状況に。
まとめ
ツツミは消費者ニーズに応じた低価格戦略と主力商品の強化によって、インフレ下でも業績を拡大しています。
一方、ヨンドシーホールディングスは高付加価値路線と店舗縮小で収益改善を図るも、消費環境とのミスマッチにより苦戦中です。
この対比は、インフレ時代における消費者行動の変化や、競争戦略の重要性を示しています。
ツツミの成功は、低価格帯ジュエリー市場での優位性を示す好例と言えるでしょう。