10月でも夏日が続いた今年ですが、ようやく秋も深まってきましたね。
今秋は紅葉の色づきが例年より遅れていますが、東日本の山沿いなどでは、
ようやく見頃を迎える場所が増えてきたようです。
紅葉は標高の高い場所から始まり、徐々に標高の低いエリアへと広がっていく
ため、まもなく市街地でも紅葉が楽しめそうですね。
この時期になると、沢山の方が「紅葉狩り」に出掛けるのではないですか?
紅葉を鑑賞することを何故「紅葉狩り」と言うのでしょう?
また、あなたは「もみじ」と「かえで」の違いをご存じですか?
「紅葉(もみじ)狩り」とは?その語源について
「紅葉(もみじ)狩り」という言葉を聞くと、語感から「紅葉を取る」、
「もぎ取る」と連想してしまう人もいるかもしれませんが、実際には
「紅葉狩り」とは「山や野に出かけて紅葉を観賞すること」を指します。
類義語として「紅葉見(もみじみ)」や「観楓(かんぷう)」もあり、
これらも紅葉狩りと同じく紅葉を楽しむことを意味しています。
「紅葉見」はそのまま、紅葉を眺めて楽しむことですね。
ところで、「もぎ取る」と「観賞する」ではずいぶん意味が異なります。
では、なぜ「紅葉狩り」が「紅葉を観賞する」という意味を持つようになった
のでしょうか?
「狩り」という言葉は、もともと鳥獣を捕らえることを意味していましたが、
時代とともにその使われ方が広がっていきました。
魚や貝、果物などを採ることにも「狩り」という表現が使われるようになり、
さらに花や紅葉を観賞する意味でも用いられるようになったと考えらます。
こうして「狩り」が草花を愛でる意味に変わっていった背景には、
平安時代の貴族文化が関係していると言われます(他にも説はあります)。
当時の貴族は歩くことを下品とし、牛車で移動するのが一般的でした。
しかし、花や紅葉を観賞するために山道を牛車で登るのは現実的では
ありません。そこで、山野に歩いて出かけて花や紅葉を愛でることを
「狩り」に見立てるようになったのです。
狩猟なら歩いて行くのも自然なことと、平安貴族は考えたのかもしれません。
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「もみじ」と「かえで」の違いは?
「もみじ」の語源は、動詞「もみづ」に由来します。
「もみづ」は、反物(着物の生地)を植物の色素で染め、
揉み出して色を水中に染み出させる様子を表現していた言葉です。
秋になると、樹木の葉が赤や黄色に染まっていく様子がこの「もみづ」に
似ていることから、紅葉した葉全体を「もみじ」と呼ぶようになったと
考えられます。
「かえで」という名前は、葉の形が蛙の手に似ていることに由来しています。
「かえるで」から「かえで」へと変化し、葉の形に基づく命名です。
つまり、「もみじ」は紅葉する樹木の総称であり、例えば秋に葉が赤くなる
桜は「桜もみじ」と呼ばれることがあります。
一方で、「かえで」は葉の形に特徴がある樹木を指すため、
両者はカテゴリーが異なるものとして扱われています。
しかし、植物学的には「もみじ」はカエデ属に分類されます。
つまり、カエデ属という大きな分類の中に、「イタヤカエデ」や
「ハウチワカエデ」と並んで、「イロハモミジ」や「オオモミジ」などの
「もみじ」が含まれているということですね。
最低気温8℃以下が紅葉開始の目安
木々の葉が色づくためには、特定の気象条件が必要とされています。
落葉樹が紅葉や黄葉し始めるには、最低気温が8℃以下になることが重要で、
5℃以下になると色づきが一気に進むと言われています。
これは紅葉の代表である「イロハモミジ」を基準とした指標で、野生植物の
個体差や地域差があり、8℃以下や5℃以下という数値はあくまで目安です。
また、気温の低下以外にも下記の「美しい紅葉の3条件」が知られています。
- 十分な日照があること
- 水分が行き渡っていること
- 昼と夜の気温差
が大きいことです。
さらに、空気が澄んでいることや、平地よりも斜面で育つことも美しい
紅葉をもたらす条件として挙げられます。
まとめ
「紅葉(もみじ)狩り」の語源は、
「山や野に出かけて紅葉を観賞すること」を指し、平安時代の貴族文化が関係
していることがわかりましてね。
また、「もみじ」と「かえで」の違いについても紹介しました。
「もみじ」は紅葉する樹木の総称であり、「かえで」は葉の形に特徴がある
樹木を指します。
しかし、植物学的にはカエデ属という大きな分類の中に、「もみじ」が
含まれているという事がわかりました。