国土交通省国営明石海峡公園事務所は、明石海峡公園(淡路地区海岸ゾーン)で進められていた「アウトドア・ベース」エリアの一部(約5.5ヘクタール)を
再整備する為、事業者再公募しています。
これは、キャンプや環境学習、レクリエーションを融合させた次世代型の自然体験拠点として期待されていました。
整備にはP-PFI(Park–Private Finance Initiative)という官民連携手法を用い、民間の創意工夫によって、より魅力ある公園づくりを目指すプロジェクトで、2025年、環境省は事業者の再公募に踏み切ることを発表しました。
なぜこのタイミングで再公募なのか?
その背景と、構想のこれからを読み解きます。
P-PFIとは?──公園と民間がタッグを組む新しい形
P-PFIとは、Park-PFIの略です。
PFIとは(Private Finance Initiativeの略)、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法です。
国や自治体が土地を提供し、整備・運営・維持管理は民間企業が担います。
この仕組みを活用することで、公園の魅力を高めながら、財政負担を軽減し、地域経済も活性化させることが狙いです。
明石海峡公園のアウトドア・ベース構想とは?
国営明石海峡公園は、明石海峡大橋を挟んだ周辺地域の広域的なレクリエーション需要に答えるため、兵庫県淡路市の『淡路地区』と神戸市北区、西区の『神戸地区』の2地区で整備を行っている全体計画面積330haの国営公園です。
淡路地区は、「海辺の園遊空間」の創造を目指し、大規模土取り場跡地において、自然再生と交流空間の整備を隣接施設と連携して進めており、平成14年3月に開園しました。
今回整備が予定されていた「アウトドア・ベース(仮称)」は、キャンプや環境教育、地域資源と連動した観光体験を盛り込んだ複合型自然体験エリア。
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デイキャンプや宿泊型サイト
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BBQスペース、フィールドアスレチック
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木育・防災教育・自然観察などのプログラム
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修学旅行・子育て世帯向けのパッケージ展開
といった、
都市部のファミリー層や教育ニーズに応える内容が想定されています。
なぜ「再公募」なのか?
環境省によると、初回公募での事業者選定が不調に終わったため、内容を見直したうえで再公募に踏み切るとのこと。
その背景にはいくつかの課題があるとみられます。
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採算性の確保が難しい:初期投資に対する回収見通しが立てづらい
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事業期間の不確実性:長期運営におけるリスク負担の重さ
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公共性とのバランス:公園の自由利用・自然保護との調整が必要
観光需要の変動や物価高など、民間側の判断にも影響した可能性があります。
今後の焦点と期待
再公募にあたって、以下のような視点が焦点となるでしょう:
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事業条件の柔軟化(例:事業期間の見直し、初期整備負担の軽減)
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地域連携の強化:地元企業や観光資源とのネットワークづくり
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公共性の担保:誰でも安心して使える施設としてのガイドライン整備
💬「自然と共に過ごす、豊かな時間を創る拠点に」──
明石海峡公園が再び注目を集めることを、地域住民やパークファンは静かに期待しています。
まとめ:持続可能な官民連携モデルへ、次の一歩
“アウトドア・ベース”構想は、一度立ち止まりを見せました。
しかしそれは、より確かな未来のための再設計とも言えます。
自然をただ「楽しむ」だけでなく、「学び」「守り」「つなぐ」場所としての進化。
再公募によって、明石海峡公園が次世代に愛される“体験と循環”の拠点として再出発できるか──今後の動向に注目です。