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東寺「洛南会館」改修・増築の裏側に見えてきた新構想|「NOT A HOTEL KYOTO -TOJI-」2027年春、開業へ。

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京都・東寺の近くで「建物の改修・増築」というニュースが出ています。

一見すると、古い宿泊施設をきれいにするだけの話に見えるかもしれません。

しかし、建築・まちづくりの視点から見ると、今回の計画はかなり興味深いものです。

実はこの「東寺洛南会館」の改修には、「NOT A HOTEL KYOTO -TOJI-」という新しいホテル構想が関係しています。

しかも単なる高級ホテルへの建て替えではありません。

「歴史的な建物を残しながら、現代の人が実際に泊まることで、その価値を未来へつなぐ」

そんな発想が、このプロジェクトの大きな特徴です。

今回は、建築設計・まちづくりの現場を20年以上見てきた立場から、専門用語をできるだけ使わず、この計画の「本当の意味」をわかりやすく解説します。

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まず「東寺洛南会館」とは?

東寺は、京都駅の南西側に位置する世界遺産です。

正式名称は「教王護国寺」。

平安京がつくられた時代に建立され、現在まで残る京都の歴史を象徴する寺院の一つです。

その境内には五重塔、金堂、御影堂など、誰もが一度は写真で見たことがあるような建築物があります。

そして今回の舞台となる洛南会館は、東寺の宿坊として1968年に建てられました。

つまり、1200年前の建物そのものではありませんが、半世紀以上にわたって東寺を訪れる僧侶や旅行者を受け入れてきた建物なのです。

「改修・増築」のニュースから見える計画

2026年8月31日付の建設業界紙では、

「宗教法人教王護国寺 南区の東寺洛南会館改修・増築」

として、計画が紹介されています。

現在公表されている建物概要は次のようになっています。

項目 内容
事業者 宗教法人 教王護国寺
建物 東寺洛南会館
所在地 京都市南区
工事 改修・増築
構造 SRC造
規模 地上4階・地下1階
延床面積 約3,080㎡
旧建物 1968年竣工の洛南会館
新しい計画 ホテルとして再生
ブランド HERITAGE by NOT A HOTEL
施設名称 NOT A HOTEL KYOTO -TOJI-
開業予定 2027年春

建設経済新聞社も、洛南会館について「SRC造4階・地下1階、延床面積3,080㎡」規模の改修・増築計画として報じています。

ここでポイントになるのが、「改修」と「増築」が同時に行われることです。

なぜ「建て替え」ではなく「改修」なのか?

建築の世界では、

改修=今ある建物を生かして、新しくすること

です。

一方、

建て替え=既存建物を壊して、新しい建物を建てること

です。

今回の計画で重要なのは、1968年に建てられた洛南会館を単純に壊してしまうのではなく、既存建築をベースに新しい価値を加えるという考え方です。

これは最近の建築・まちづくりで非常に注目されている考え方です。

「古い=壊す」ではない

以前の都市開発では、

古い建物を壊す

新しい建物を建てる

という方法が一般的でした。

しかし現在は、

古い建物を残す

現代の性能・デザインを加える

新しい用途で使い続ける

という選択肢が増えています。

これを建築業界では、簡単に言えば**「建物を使いながら再生する」**という考え方で捉えます。

今回の東寺洛南会館は、その好例になりそうです。

そして「NOT A HOTEL」という構想が登場する

ここが今回のニュースで最も注目したいところです。

2025年12月、NOT A HOTELは新しいホテルブランドとして、

「HERITAGE by NOT A HOTEL」

を発表しました。

その第1弾として選ばれたのが、なんと東寺の洛南会館です。

つまり今回の改修・増築は、

単なる宿泊施設のリニューアルではなく、「歴史的建築をホテルとして再生する」というブランド構想の第1号

というわけです。

「NOT A HOTEL」は普通のホテルと何が違う?

NOT A HOTELという名前を聞くと、

「ホテルなのにホテルじゃないの?」

と思いますよね。

もともとNOT A HOTELは、建築家やクリエイターとともにデザイン性の高い別荘を展開してきた会社です。

これまでオーナー向けシェア型別荘を展開してきた同社が、一般利用可能なホテル事業に本格参入します。

今回のホテルは従来の10泊単位からシェア購入する会員制モデルから、誰でも宿泊できるホテル運営へ移行します。

今回の「HERITAGE」は、そこからさらに一歩踏み込み、文化財保全と収益性を両立させる新モデルを構築します。

寺院や美術館などの歴史的建築を現代的に再解釈し、一般の人が泊まれるホテルとして活用する

という考え方です。

これは非常に面白い発想です。

「保存」だけではなく「使って守る」

建築の保存というと、

「昔の姿をそのまま残す」

というイメージがあります。

もちろん、それも重要です。

しかし、建物は人が使わなくなると維持が難しくなります。

そこで今回の考え方が出てきます。

歴史的建物

現代のホテルとして再生

宿泊客が利用

収益が生まれる

修復・保全につなげる

NOT A HOTELは、HERITAGEについて、リニューアルされた建物から生まれる収益を修復・保全費用へ循環させる考えを示しています。

これは、まちづくりの専門家から見ても非常に重要なポイントです。

「東寺に泊まる」という体験そのものが商品になる

今回のプロジェクトでは、単に部屋をきれいにするだけではありません。

公式サイトで公開されている計画を見ると、

  • エントランスラウンジ
  • 日本庭園
  • 客室
  • 日本料理
  • メディテーションサウナ
  • ジム

などが計画されています。

特に面白いのが、**「五大」**を空間デザインのテーマとしている点です。

東寺の五重塔に込められた、

地・水・火・風・空

という密教の思想を、ホテル空間に取り入れる計画となっています。

つまり、

「京都っぽい和風ホテルを作る」

という単純な話ではありません。

東寺そのものが持つ歴史・宗教・建築文化を、現代の宿泊体験に変換する

という設計思想なのです。

建築の専門家から見ると、ここが面白い

今回の計画で私が特に注目しているのが、

「建物」ではなく「場所の価値」を商品にしている

という点です。

普通のホテルなら、

「客室が広い」
「ベッドが良い」
「設備が豪華」

といった性能が重要になります。

しかし東寺では、それだけではありません。

一般的なホテル KYOTO -TOJI-
建物そのものが主役 東寺という場所が主役
新しいデザイン 歴史を現代的に再解釈
客室・設備が価値 建物+庭+歴史+時間が価値
観光地へ出かける 滞在そのものが東寺体験
新築中心 既存建物を再生

これは、今後の京都のホテル開発を考えるうえでも重要な方向性だと思います。

なぜ「東寺」が選ばれたのか?

東寺には、一般的な観光施設にはない圧倒的なブランドがあります。

五重塔をはじめとする歴史的建築、寺院文化、そして世界遺産という価値です。

京都市によると、東寺は平安京建設時に建立された官寺の一つで、823年には空海に下賜され、真言密教の中心となりました。

また1994年には「古都京都の文化財」の一つとして世界遺産に登録されています。

つまり、「東寺に泊まる」という行為そのものが、京都の歴史を体験するコンテンツになるわけです。

「ホテルを建てる」というより「歴史の使い方を変える」

今回のプロジェクトを建築的に表現するなら、

「ホテル開発」だけで考えると本質を見誤る

と私は考えます。

本質は、

歴史的資産をどうやって次の100年へ残すか?

という問題です。

日本には、古い建物が数多く残っています。

しかし、

「古いから保存する」

だけでは維持費がかかります。

一方、

「壊して新しくする」

と歴史そのものが失われます。

そこで、

「残しながら使う」

という第三の方法が出てきます。

東寺洛南会館は、まさにこの考え方を実践するプロジェクトになりそうです。

2027年春の開業へ

NOT A HOTEL側では、「NOT A HOTEL KYOTO -TOJI-」を2027年春に開業予定としています。

実際に2026年にはホテルスタッフなどの採用情報も出ており、開業に向けて運営面の準備が進んでいることがうかがえます。

ただし、工事の詳細な工程や最終的な施設仕様などについては、今後変更される可能性があります。

したがって、現時点では「公表されている計画」を基準に見ておくのがよいでしょう。

京都のまちづくりに与える影響は?

今回のプロジェクトは、一つのホテルができるという話だけでは終わりません。

私は今後、京都ではこのような

「歴史資産×宿泊×文化体験」

という組み合わせがさらに増える可能性があると見ています。

その理由は、京都にはまだ十分に活用されていない歴史的建築が存在するからです。

もちろん、何でもホテルにすればいいわけではありません。

重要なのは、

その建物が持っている歴史を壊さず、現代の利用者にも価値として伝えられるか

です。

まとめ|「洛南会館」は京都の新しい保存活用モデルになるか?

今回のニュースを単純に、

「東寺の古い会館がホテルになる」

と考えるのは少しもったいないです。

本当のポイントは、

1968年に建てられた洛南会館を、東寺の歴史と現代のホテル体験をつなぐ場所として再生する

というところにあります。

今回の計画を一言でまとめると

視点 今回の意味
建築 既存の洛南会館を改修・増築
歴史 東寺の宿坊としての記憶を継承
ホテル NOT A HOTELとして再生
ブランド HERITAGE第1弾
デザイン 東寺の「五大」を空間に反映
まちづくり 歴史資産を現代の観光・滞在へ活用
保存 ホテル収益を修復・保全へ循環
開業 2027年春予定

建築の世界では、「新しいものをつくること」だけがまちづくりではありません。

むしろこれからは、

「今あるものをどう未来につなげるか」

が、ますます重要になります。

1200年の歴史を持つ東寺と、1968年に生まれた洛南会館。

そこに現代のホテルという新しい役割を与える今回の計画は、京都における**「保存と活用の両立」**を考えるうえで、非常に興味深い事例です。

2027年春、ここがどんな空間として生まれ変わるのか。

そして、宿泊客が東寺という場所をどのように体験するのか。

「古い建物を残す」から「使いながら未来へ残す」へ――。

東寺洛南会館の再生は、京都のこれからのまちづくりを占うプロジェクトの一つとして、ぜひ注目しておきたいところです。

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